政府デジタル化の目的は

そもそも慌ててデジタル化となった発端は、米国の新型コロナの支援金給付が日本に比べて断然スピーディで給付されたことだ。
 
だから各世帯の給付金振込口座を役所に届けておけば、それだけで済んでしまうことだと思うのだが。そして役所は金融機関に振込依頼すれば完了だ。
 
民間の知見を活用するために4千億円使うのは構わないとして、改善が必要なのは政府内の話だと思うが、どれだけ民間人が介入できるのだろうか。
 
すでに通信設備等のインフラは出来上がっているのだから、これからのデジタル化とはどんなサービスをどれだけ早く提供できるか、ソフトの世界であり政府業務の運用をどう変えるかで、明日にでもすぐに10万円の給付金が振り込まれることが出来るようになるはずだ。
 
デジタル化の目的は業務をいかに手際よくスピーディにやってもらえるかの話であるから、とりあえず今問題の給付金振込専用口座の役所登録と一律でなければ給付対象者選定を速やかに決めれば良いだけなので、3年もかける必要は無い。
 
本来のデジタル化は、その迅速性を生かして煩雑な業務を見直してスピーディにお客様のニーズに答えることではないかと思うが、それには政府内役所内のオンライン化は当然のことながら業務整理と組織整備も必要になることだと思うが、果たして政府デジタル化はどちらの方向へ向かうのだろうか。
 
これからも世界的に見て新型コロナ不景気は続くであろうから、第一に支援金の給付を明日振り込む仕組みを考えれば良いことではないだろうか。それには3年は要らない。
 
単に支援対象者をすぐ決めれば良いことだけだ。
 
政府デジタル化は公共事業の課題をすべて洗い出しデジタル化処理できる業務組織体制を作ることになるだろうから、10年かかるか20年かかるか、じっくり考えてやるべきであり間違っても民間に丸投げしてやれることでもないから方向を明確に見定めることが大事だ。
 
まずは給付金を明日にでも振り込める体制を作ることだ。
 
ただ今日の時点でも10万円振込はいつになるのか全然分からないような議論しているのでは、デジタル化とも関係ないはずだが、給付金は当てにしないほうが賢明だろう。
 
 
通信事業のデジタル化も一瞬にして出来上がったものではなく、電子部品の進化やデジタル技術の向上が20年、30年と時間をかけて、今のようなスマホ社会にまで漕ぎ着けたので、じっくり社会のニーズを探り、例えばワクチン接種管理のオンライン化など急ぐものから手を付けてもらいたいと思うところだ。
 
海外を見ればより感染が拡大してきているので、日本でも第6波がいつ来るかをデジタル技術(単にスーパーコンピュータ)を大いに駆使して予測、分析、隔離などの準備を行っておけばアタフタすることは無いと思える。
 
デジタル技術はすでに出来上がっているが、問題は使えこなせないだけだ。まずは新型コロナ撲滅対策をデジタル化してみるのが良いと思うがおじさんたちに発想が出来るだろうか。
 
知り合いに何人もいるが、社内業務でメールも社内文書作成もパソコン操作が出来ない人がいるがアシスタントに代わりにやってもらって、結局パソコンを覚えずに退職するおじさんたちが多い。
 
 
さて業務をデジタル化するには問題が2つある。
 
一つ目は、今言ったようにパソコンが使えない人がいる。2つ目は、パソコンに堪能な人が仕事を行うので、暇な人が出て来てしまって人余りとなる。
 
通信分野の世界がまさにそのような時代を通過してきたのだが、結局は新入社員の採用を控えて、高齢者の自然退職を待つしかなく、間違ってもクビには出来ないし、いざデジタル化を促進しようとすると反対勢力が生まれてくるから、簡単にデジタル化が進むとは思えない。
結局は、おじさんたちの頭をデジタル化できるかどうかが、経験として大きな課題になると予想するのである。

 

 

ところで10万円給付がいつになるか分からないが、急ぐ考えがあるなら、所得の低い300万円以下の世帯からでも優先に給付するべきだし、子どもの人数の把握はどうやってやるのか役所任せになるのか、デジタル化されていればそんなことは簡単なのであるが、どうにもこうにも昨年と変わらない政権となりそうな気がしてならない。今必要なことはデジタル化人員の育成ではなく、後手後手の意思決定の遅れが問題なのであり改善すべきところなのである。